読んでおきたいオススメの心理学の新書

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心ってむずかしい・・・

身体と心のちがい

身体の病気ももちろんむずかしい。 病院でいろいろな不調を訴えても、場合によっては検査で悪いところが出ずにそのまま返されることもあります。 場合によっては、「気のせいでしょ」といわれたり、「精神的なストレスでしょう」といわれることもあります。 こちらは自分の症状を訴えたのにもかかわらず、そんなけんもほろろにいわれたら半分腹立ち気味にはなりますけれど、そこでは治しようがないならそれはそれでいいとして、では、実際に精神科を訪れたらどうだろうか? わたしは精神科に行ったことはないけれども、周りの知人の話を聞けば、結局は定番の薬を出されて終わりのよう。 で、治ったかというと、よく分らない・・・。 身体の症状・不調に関しては、ある程度解剖学はあるし、生理学もある。 さらにレントゲンやMRI、CTなどの診断機器もある、つまり、目に見える器質的な変化があるから、原因がはっきりしたときは対処のしようがある。 しかしそれに引き替え心の病はなんともいたしがたい。 様々な精神療法があるけれど、そもそも目に見えない“心”を扱うのだから、それこそ雲をつかむようなもの。 そういう限界がありながらも、心のあり方は少しずつ解明されてきているようだ。

古いけれど名著としてまず2冊

『不安の病理』 笠原嘉著 岩波新書
まず1冊目で挙げたいのが、『不安の病理』。 絶版なので、古本で手に入れるしかないのですが、新書ですから安いです。 私もたまたま古本屋で手にしたものですが、調べてみると著者の笠原嘉氏は、日本心理学の重鎮だそうです。 重鎮に対して“だそうです”っていうのもなんだか失礼な物言いではありますが、本書を読むと、まずそのやさしい語り口調、分かりやすい記述で、すぐに著者が“ただならぬ者”であることがうかがい知れまして、それで“重鎮”といわれると、なるほどやはりそうかと納得する、それくらい読みやすいです。これはすごいことだなとまず感心しました。 そして本書の内容ですが、タイトルの通り、「不安」というのを一つのキーワードにして、そこから掘り出される心理学のトピックスを様々に取り上げております。 これまで築き上げてきた心理学のお話しや、心理学者とその学説の紹介などもあるし、症例もあります。また、精神科の先生がどのように患者さんと接するべきかといったお話しなどもあり、ほんとに幅広い。しかもそれらが自然と繋がっていくような構成で、読んでいて無理がなく自然に読み進めることができます。 また、本書がすごいと思われるのは、この現代における病理も予言しているところです。 いつの頃からか、「プチうつ」という言葉が出てきて、うつという病気のハードルが下げられました。 そしてその後は、「軽症うつ」「新型うつ」といったように、新たなうつ症状が出ているとマスコミなどでも取り上げられるようになりました。 本書の中では、そういった現代に現れている新しい傾向をもった心の症状が増えていくだろうという指摘もあり、それがまた鋭い指摘。 でも、指摘するだけで終わるのではなく、その先の解決方法についても多少の示唆があります。 本書は古本の部類には入りますが、まだまだ賞味期限がある一冊。むしろ、今こそ読み返したい一冊ではないかと思います。
『コンプレックス』 河合隼雄著 岩波新書
コンプレックスがない人はいないだろうと思います。 コンプレックスを逆手にとって成功をおさめている方も多いでしょう。 しかしなかなかそうは簡単に処理ができないのがコンプレックスの難しいところ。 どうしてこうも厄介なものがあるんでしょうね。 ということで、河合隼雄氏の『コンプレックス』はタイトルそのまま。
河合隼雄氏といえば、ユング派の心理学者として有名で、様々な層へ向けた本もたくさん出ております。 とても分かりやすいものが多いので、一度手に取ったことがあるという人も多いのではないでしょうか? こちらの岩波新書の『コンプレックス』は、河合隼雄氏が40代になった頃の作品。 格式のある岩波新書ですし、今ほどに新書が乱立していない時代ですから、この『コンプレックス』も少し敷居が高いように感じるかもしれません。 しかしさすが河合隼雄氏です、本書もとても分かりやすく身に染みてくるようなものとなっています。 コンプレックスがどのようなものなのかという基本的な考え方や、その事例など、とても分かりやすいです。 そして不思議なのは、学術的なものを記したものはずなのに、何だか読後はとてもさわやかな気持ちになります。 「コンプレックスを解消しよう!」というような本ではないのに、読後は心がとても軽くなります。 そういう意味でも、読んでみることをお薦めいたします。

チャンスを逃さないために

これまでの人生を振り返ってみると、なんであそこでこっちを選択してしまったかな~ということがしばしばあります。 あのとき自分の本当の気持ちはAという選択肢だったのに、金銭的なことを理由にしてBという無難な選択をしてしまった・・・なんてことはよくある話です。たとえ金銭的な理由だったとしても、Aという選択をしていたらどうにでもなったというのに・・・。

無意識の選択も自分の心から

私たちが自分というものに目を向けると、そこにはたしかに自分がいます。 しかし、普段はそんなことを事細かく意識しているわけでもなく、なんとなく自分の表層の意識で生きているような気がします。 でも、表層よりもその下にある無意識はもっともっと深く広いわけです。 もしかしたら、自分が犯した失敗は自分自身の深層心理の中にあるのかもしれません。
『ジーパンをはく中年は幸せになれない』 津田秀樹著 アスキー新書
本書は、自分の心に蓋をしないで、自分がやりたい方向に目を開いてくれるものです。 そういうと、何だかとても仰々しい感じもしますが、本書はとても柔らかい内容です。 どうしてAという選択を願っているのに、土壇場になってBという選択をしてしまうのか、そういう深層心理が犯してしまう過ちを指摘してくれます。言い訳が多く、石橋を叩くのに、最後の最後になると石橋を渡らずに橋の手前で切り返してしまう、そんなことが多いと思っている方にぜひ読んでみることをお薦めいたします。

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