芸術は爆発だ! 岡本太郎を読む

岡本太郎からの挑発

岡本太郎的伝統論

岡本太郎の文章は、どれも鮮烈で、そしてウィットに富んでいる。

“芸術は爆発だ!”があまりにも突飛であったがために、“変わった人”のイメージがついて回るようになってしまった。
しかし、岡本太郎の本を読んでみると、決して“突飛”だけではないことがわかる。

“突飛”なだけではただの風変わりである。
“突飛”さはあくまで表面だけで、その中身は峻烈な刃物のような鋭さがあることがわかる。
本質を見抜く眼力、その眼力のさらに底には、岡本太郎が生きてきた全ての知識や経験がつまっている。
それが本という形になって表現されている、一つのアートなのだ。

冒頭に掲げた『日本の伝統』というのは、その最たる一冊。

従来の伝統という概念に反発を抱きながら、自らの伝統論をぶち上げる。

伝統的なモノの見方、それこそがすでに非伝統になっている。
伝統的そのものを疑う、ときにそこを否定する。
そこからはじまる岡本太郎の伝統論は、真の意味での伝統論になっている。

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岡本太郎的な生き方

岡本太郎の文章にはっきりであったのは、高校生の時に受けた模試だった。
今考えると、岡本太郎の文章が試験に出るというのも変な感じもするのだが、しかしそれは試験という緊張の中での最高の出逢いだったように思う。うろ覚えであるけれど、その模試にでてきた文章には、“霜降りのやわらかいお肉を上品に食べるというのではなく、カッと目を見開いて相手の生命力を取り込むという勢いで食べるんだ!”ということが書いてあり、私は試験が終わった後にそのことがぐるぐると頭の中をしばらく巡っていました。

その後私自身は人生いろいろで、うまくいかないことばかりの日々の中で、『自分の中に毒を持て』を手にしました。
赤ペンで線を引きながら、一つ一つの文章をかみ砕きながら読み進めていきました。
ある面では、私はこの本によって平均的な人生を歩めなくなりましたが、しかしそれで後悔することもなく、むしろそれは良かったのだろうと思うのです、あの模試で出逢ってからですから。

そしてその後も人生いろいろ。
またもや悩む時期が来るわけですが、その時も助けられたもののひとつが岡本太郎。

それが、『太郎に訊け!』。
この本は、週刊プレイボーイ誌に連載されていた岡本太郎の人生相談をまとめたもの。
若き日によくある悩みや、根源的な悩みなどに対して、岡本太郎が真剣勝負で答えるというもの。
ここにもまた岡本太郎的な生き方が色濃く示されていて、読んでいる者に勇気を与えてくれる。
もし何かで躓いているとしたら、この『太郎に訊け!』はおすすめであります。

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そしてさらなる岡本太郎

岡本太郎の魅力は、どこを取っても岡本太郎がにじみ出ているところ。

そして、意外なところにも言及し、今日的なテーマとして十分な新鮮さを持つところです。
そのような岡本太郎本は様々あるのですが、ひとまずこの二冊をご紹介しておきます。


岡本太郎の写真センスも並外れていると思います(私が上から目線でいうのもおこがましいですけど)。
被写体に対する向き合い方、目の前にあるものをどう切り抜くかというそのせめぎあいがすさまじい。
パラパラとめくるだけでも大きな訴えをしてきます。

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レビュアープロフィール

瀬戸 郁保
瀬戸 郁保
コガネブックス店主

本が好きで、ついつい買ってしまう。。
本業は鍼灸師・国際中医師で、東洋医学畑の人間です。
体について、心についてといった本業に関係する本を読むことが多いですが、その他にも旅、食べ物などいろいろと。
東京の表参道で源保堂鍼灸院の院長をしている。
また、登録販売者であり国際中医師でもあり、薬戸金堂という漢方薬店の店主でもある。

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