川津祐介三冊勝負

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 小学生だったか、中学生だったか、川津祐介氏がテレビの超能力特集に出演していたときがあった。
 当時の超能力と言えば、スプーン曲げだ。その頃はすでに超能力ブームは下火になっていたとはいえ、やはりこの手のものは興味をそそる。“スプーン曲げ”という言葉だけで心が躍る、そんな世代だったのだ。私だけではなく、当時はどの少年・少女もこういった超能力番組はよく見ていたのではないかと思うが、その類に漏れず、私もかなり食い入るように観ていたものです。

 この川津祐介さんが出演していた番組が他と違ったのは、視聴者に向かって“気”なるものを送り、それを送るがために、通常よりもスプーン曲げが成功する確率が高くなるというところ。これまで一度もスプーン曲げに成功したことがない私にとって、これはものすごく心強いし、自分にもスプーン曲げが出来たらきっとすごいことが起きるにちがいない!と胸が高鳴る思いでした。

 しかし、結果としてはスプーンは曲がらず、完全に拍子抜け・・・。
 また騙されてしまったのか・・・。
 それとも自分にはそのような異能の力はないのかという喪失感・・・。

 しかし、川津祐介氏の顔はスッキリとしているし、とても穏やか、そしてテレビで観る限りでは誠実な印象だ。決して人を騙すような人ではないだろうと、そのときから川津祐介氏のことはとても気になっていて、何かの機会があればよく調べてみたいと思っていたものです。

 ということで、この度、古本で川津祐介氏の本を三冊購入することが出来ましたので、三冊勝負をしてみようと思います。

『三回死んでわかったこと』

 まずはじめにご紹介するのが、川津祐介氏が三回の臨死体験からつかんだ、生きる目的を著わしたもの。

 川津祐介氏と言えば、『3年B組金八先生』にも出演していて、次から次へとたくさんの問題が起きるB組とは好対照に、規律正しく行動する3年A組の担任を颯爽とした表情で好演しています。廊下に生徒が並ぶときなどは、禅僧のように警策(きょうさく)を持っているなど、とても冷静沈着な姿。演技とはいえ、川津氏の性格や生活がにじみ出ているような、そんな雰囲気の場面もありました。

 そんな川津氏のルーツがわかるような、自叙伝的な作品がこの『三回死んでわかったこと』であります。戦争肯定派だった幼き頃、そこに挫折感を感じて自殺を決行してみたところなど、著者の激しい葛藤がよくわかります。

 読んでいて思うのは、川津氏はとても激烈!振幅が激しい!

 こっちで悟ったかなと思うと、あっちでつまづいて、反省。そしてまた立ち直って、悟って次にと、とにかく振れ幅が極端。この極端さに、読んでいる方は、この人ほんとに大丈夫か?と思ったりもしますが、そのあたりはご愛敬。
 でも、これはやはり“自分に正直に、自分を貫く”、“自分の気持ちに真っ向勝負”という感じの求道心が自然とそうなるのだろうと感じます。

 本書は、半分くらいまではわりと同じことの繰り返しというのか、川津氏ご自身の生い立ちのようなお話しが多く、それはそれで読めます。
 が、しかし、本当に面白くなってくるのは本書を半分過ぎたあたりからでしょうか。半分過ぎたあたりから、川津氏が体験からつかんだ、生きる指針、生命の根源といったところがはっきりと示されており、読んでいるものにぐぐっと迫ってくるものがあります。至極真っ当なことでありますが、川津氏からのメッセージはどこか心の深くに到達します。

『超能力健康法』

 まず、もうすでにタイトルからしてぶっ飛んでます!

 なにせ“超能力健康法”ですからね、超能力!
 冒頭でも述べましたように、超能力と言えばスプーン曲げと相場が決まっておりますが、川津氏はそのようなエンターテインメントはとうの昔にお捨てになり、人生が楽しくなるような生き方のために使うべきという発想から、超能力で健康になる!というものです。どうしてスプーン曲げを止めたかは、上述した『三回死んでわかったこと』に詳しいので、ご興味のある方はそちらを読んでもらうとしても、でも、『三回死んでわかったこと』を先に読んでおかないと、この『超能力健康法』がいかにもオカルトな本に写ってしまうかもしれませんし、本書の趣旨もなかなか伝わらないかもしれません。

 本書は、川津祐介さんが体調を崩して体験した野口整体の話からはじまります。恐らく、はっきりとした明言はありませんので推測ですが、この“超能力健康法”と称する健康法の内容は、基本は野口整体にあるのかと思います。その基本に対して、川津祐介さんが経験をしたオリジナルを織り込みながらの内容となっているようです。
 正直なところ、とても詳しく操法が載っているとは言えませんので、本格的に学びたい人にとってはもの足りないかと思います。しかし、先ずは簡単にやれることをやってみようか?というくらいのライトなものであれば、参考になるところも多いかと思います。また、施術をするときの気持ちのあり方はとても純粋で、見習うところも多々あると思います。

 健康になる方法に、あえて超能力を挙げているところや、俳優ということを度外視にして、真っ向勝負で本当のことを伝えようという強い気持ちは、ただならぬものを感じます。

『こんなにヤセていいかしら』

 この『こんなにヤセていいかしら』は、上述した『超能力健康法』が発刊された3年後に出版されたもの。私も記憶の中で、この本はすごく人気を博していたというイメージがある。私はまだたぶん中学生とかそのくらいだったと思うのだが、それでもそんな記憶があるくらいのもの。

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